Timbreは、Synclavier Vの音色を構成する最大12個のPartialが集まったものを指します。
各Partialは、アディティブやフリケンシーモジュレーション (FM) による、次の2つのデジタルオシレーターで作られた音色を指します:
- キャリア (音源となるオシレーター)
- モジュレーター (キャリアの周波数を変調するオシレーター)
このPartialをベースに、各Partial間でモジュレーションをかけることができる機能が、Time Sliceです。
Time Sliceを使用して、12個のPartialの状態を最大50個、合計5分にわたる変化を設定できます。
また、各Time Slice同士と最大30秒の範囲でクロスフェードをかけることもできます。
Standard パネルモード
Stanardパネルモードでは、Synclavierの複雑な機能をマクロコントロールで効率よくエディットできるモードです:
このモードでは、次のことができます:
- Timbreの全体的なエディット
- Amplitudeエンベロープのグローバルエディット (すべてのキャリアのエンベロープ設定値をオフセット的にエディットします)
- Harmonicエンベロープのグローバルエディット (すべてのモジュレーターのエンベロープ設定値をオフセット的にエディットします)
上記に加えて、アルペジエイターやポルタメントなど、よりパフォーマンス向きのパラメーターのエディットも行えます。
Extended パネルモード
Extendedパネルモードでは、12個のPartialを個別にエディットすることができます。
個々のPartialでは、以下の各セクションのエディットができます:
- Partials Timbre
- Amplitude エンベロープ
- Harmonic エンベロープ
- Vibrato
- Stereo
Graphic Display モード
グラフィックディスプレイモードでは、Synclavier Vサウンドエンジンのディープな世界に浸ることができます。
ここでは、FMシンセシスやサンプル、さらにはリシンセシスによるオシレーターとTime Sliceによる時間的変化を組み合わせて、Harmonic (音色) の詳細エディットができます。
また、ミキサー、モジュレーションマトリクス機能も使用でき、エンベロープやエフェクトなどもグラフィックディスプレイでエディットできます。
- Synthesis:アディティブシンセシスで音色を作るスタンダードモードです。
- Sample:サンプルファイルを音源にすることができます。
注:対応オーディオファイルは、.wavと.aifです。
サンプルをロードすると、キャリアオシレーターとして発音させることや、通常のキャリアオシレーターと同様に、シンセシスモードでモジュレーションをかけることもできます。
サンプルをキャリアやモジュレーターとして使用するためには、リシンセシス機能でサンプルファイルをシンセシス処理する必要があります。
リシンセシス機能は、サンプルファイルのオーディオスペクトラムを解析し、その時間的な変化を複数のタイムフレームに置き換える処理です。
つまり、サンプルをPartialに使用し、それを刻々と変化する波形に変換することができます。
変換するサンプルの内容によっては、予想外の面白いサウンドに変換されることもあります。
リシンセシスによるシンセサイズ処理をしたサンプルは、キャリアやモジュレーターとして使用できるようになります。
サンプルをPartialにロードすると、リシンセシス機能で次のような処理を行います:
- アナリシスデスティネーションの選択:サンプルをキャリアまたはモジュレーターのどちらに変換するかを選択します。
キャリアの場合、リシンセスされたサンプルが音源となり、モジュレーターの場合はキャリアを変調するオシレーターになります。
- フレーム数の設定:アナリシスの精度を設定します。最大99フレームまで手動で設定できるほか、アナライズエンジンにフレーム数を自動判断させることもできます。
注:フレーム数が多いほど、サンプルの再現精度が高くなります。
- 処理の開始:Applyをクリックすると設定したフレーム数でサンプルが処理されます。
そうでないと、FMの効果はまったく表れません。
- Standardパネルモードで、F.M Modulationノブが0以外の設定値になっていますか? 0の場合、FMの深さに0をかけて効果が出なくなります。
注:ミキサーセクションにあるマスターFM Modも同じ機能です。
- ミキサーセクションのFM Modノブで各PartialのFMの深さを設定します。このノブの設定値が0の場合、FMの効果はかかりません。
- EngineセクションのTime SliceのModulationの設定値が0以外の設定値になっていますか?
New Presetを選択してシンプルなサイン波テンプレートから音作りをスタートする場合、最初のPartialからしか音は出ませんが、これは通常動作ですので心配ありません。
デフォルト設定では、使用していないPartialのボリュームはミキサーでミュートされています。
他のPartialの音を聴きたいときは、そのPartialのボリュームスライダーを上げてください。