フェイズディストーション・シンセシスは、1980年代にカシオが開発した音源方式です。
フェイズディストーション・シンセシスでは、テーブル上でサイン波の周期をスキャンして、キャリアオシレーターから音を出力します。
この間に、もう1つのオシレーター (モジュレーター) がキャリアを変調します。モジュレーターは、2つの周期が組み合わされたもので、それぞれの周期に別々の波形が入っています。
また、DCW (Digitally Controlled Waveshaping) を使用すると、モジュレーターはキャリアのテーブルをスキャンするスピードをダイナミックに変化させ、その結果としてキャリアの位相が歪みます。
2つのモジュレーターの周期とDCW
DCWの設定でキャリアの音色が変化
つまり、スキャンするスピートが一定のとき (DCWなし) は、倍音のないシンプルなサイン波が出力されます。
スキャンするスピードが変化すると (DCW使用時)、位相が歪むことで波形が変化します。
CZ Vの音源部は、Line 1とLine 2の2パートに分かれています。
各Lineにはそれぞれ、ピッチとアンプエンベロープ、DCWエンベロープがあり、独立したボイスになっています。LINE SELECTボタンで、2パートの組み合わせを4タイプから選択できます。
Line 1
Line 1単独のモードです。
Line 2
Line 2単独のモードです。
Line 1+2’
2つのLineを同時に発音します。
Line 2でLine 1を変調でき、Detuneの設定でLine 1のピッチにデチューンをかけることができます。
Line 1+1’
Line 1のコピーを作成し、そのコピーでLine 1を変調したり、Line 1にデチューンをかけることができます。この場合、波形やエンベロープの設定は共通になります。
CZ エンベロープ
CZは、オリジナルのCasio CZシリーズで使われていたエンベロープです。
最大8ポイントのエンベロープです。
DADSR エンベロープ
DADSRは、一般的なディレイ、アタック、ディケイ、サステイン、リリースという構成のエンベロープです。
MSEG エンベロープ
MSEGは、Arturiaのマルチプルセグメントエンベロープで、最大16ポイント構成で、スロープのカーブ調整やシンク機能もあります。
これにより、既存のモジュレーションから今までになかった新しいモジュレーションソースを作り出すことができます。
以下は、2つのLFOを乗算で組み合わせた例です。
LFO 1
LFO 2
結果